- 米トランプ大統領韓国の状況に対し「とても悪いこと」と言及
- 弾劾の後に選出された大統領の「宗教差別」に国際社会の関心高まる
- 大統領・国務総理の特定宗教への嫌悪表現、国家権力の介入が話題に
- 新天地教会に対すて繰り返される調査、国際人権基準との衝突を指摘
韓国の行政府が特定宗教団体を名指しし、差別的な表現を用いるとともに、調査や「根絶」を指示したことで、国内外で「宗教迫害」に関する議論が広がっている。
特にドナルド・トランプ米大統領を含む国際社会の一角では、民主主義の核心価値である宗教の自由と権力分立の原則に関して、韓国に懸念の視線を送っている。「K-Pop, K-Dramaなど、文化的影響力の強い国として知られてきた韓国のイメージとは異なり、民主主義の後退の可能性が議論されている現実に衝撃を受けた」という反応も続いている。

トランプ大統領は、2025年8月国首脳会談で、韓国教会の家宅捜索を議論した (写真出典青瓦台)
大統領·総理, 特定宗教「新興宗教・根絶」発言… 宗教迫害の批判拡がる

韓国のイ・ジェミョン大統領(写真出典青瓦台)
今月12日、韓国のイ・ジェミョン大統領は、新天地イエス教証しの幕屋聖殿(以下、新天地)などの宗教団体に言及し、「社会に及ぼす害悪を長期間放置してきたことで、その弊害が大きい」と発言した。これに続き、13日にはキム・ミンソク国務総理が国務会議において、「カルト」、「異端」といった表現を用い、合同捜査および根絶に向けた対応を指示した。
相次ぐ政府要人の発言を受け、複数の捜査機関が参加する合同捜査本部が設置され、関連調査が進められている。国会では特別検事の導入についても議論が行われており、今後、家宅捜索などの強制捜査を含む実質的な措置が講じられる可能性が高いとの見方が出ている。
大韓民国憲法第20条は、宗教の自由を無条件の基本権として保障している。それにもかかわらず、行政府の長が司法的判断が下される以前に、特定の宗教を社会的害悪の主体であるかのように断定づける発言を繰り返している点について、「国家権力が宗教に対するフレイムや嫌悪を助長している」との批判が提起されている。
とりわけ、憲法に反する非常戒厳令を巡り前大統領が弾劾された後に選出された現大統領が、再び憲法および民主主義の原則を損ないかねない発言を重ねている点から、今回の事案は韓国民主主義の深刻な後退を示すものだとの指摘も避けられない状況である。
新天地教会側「繰り返される標的捜査は宗教差別」

2020年家宅捜査時のイ・ミョン大統領 (写真出典 京畿道)
論争の中心にある新天地教会は、1984年にイ・マンヒ総会長によって設立されたキリスト教系の教団である。近年は年間10万人以上の信者数の増加が続くなど、急速な成長を遂げてきた。このような規模および影響力の拡大そのものが、政治的・社会的論争の対象となっているとの分析も示されている。
新天地教会が国家権力による主要な調査対象となった契機は、2020年の新型コロナウイルス感染拡大期であった。当時、感染症予防法違反などの容疑を理由に大規模な捜査および行政措置が相次ぎ、新天地教会は本部および各地の教会を含め、10回以上にわたる家宅捜索を受けた。当時、京畿道知事であったイ・ゼミョン大統領は、新天地総会本部に直接強制進入するなど、強硬な対応を取ったことで知られている。
その後、裁判所は感染症予防法違反を含む主要な容疑について無罪判決を言い渡した。これについて新天地教会側は、「これまで数多くの告訴・告発があったが、その大半は嫌疑なし、もしくは無罪という結論に至っている」とした上で、「それにもかかわらず、すでに司法判断が下された事案を再び政治的・世論的攻撃の材料として繰り返し消費している」と訴えている。
さらに新天地教会側は、「新天地教会は宗教共同体にすぎず、政治的な攻防に関与する意思はない」と強調し、「国民統合を語りながら、特定の宗教をスケープゴートとする行為を中止してほしい」と呼びかけている。
トランプ大統領および国際社会による注目つづく

ドナルド・トランプ米大統領 トルスソーシャルスクリーンショット
国際社会からの懸念や警告も相次いでいる。
2025年8月、ドナルド・トランプ米大統領は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で「最近、韓国政府が教会に対して非常に悪質な取り締まり(a very vicious raid)を行い、わが国の軍事基地に立ち入って情報を収集したとの話を聞いた」と言及し、「粛清(purge)あるいは革命(revolution)が起きているように見える」として、韓国の状況に言及した。
また、韓国内の教会に対する大規模な家宅捜索の報道に接した後、「これは非常に悪いことだ(A very bad thing)」と述べ、公然と批判した。同盟国の首脳が、特定国の国内捜査のあり方について懸念を表明するのは、極めて異例である。
国際民主主義連合(International Democracy Union、IDU)も昨年12月、韓国における民主主義の原則および基本権保障の状況について、継続的な監視の必要性に言及した。特定国の国内政治状況を対象とし、とりわけ大韓民国に関する民主主義・法治主義をめぐる公式決議が採択されるのは、稀な事例とされる。
国際人権規範である市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)は、宗教の自由を基本的人権として明記し、国家による介入は、明確な法的根拠、比例性、ならびに最小侵害の原則を満たす必要があると規定している。
今回の事案は、自由民主主義国家において「国家権力が宗教および市民の基本権にどこまで介入し得るのか」という普遍的な問いを投げかけている。試練の場に立たされた韓国民主主義が今後いかなる方向に進むのか、国際社会の関心が一層高まっている。
「詳細は、添付のプレスリリース全文および声明文をご参照くださいますようお願い申し上げます。」